食品にまつわる、かわいいイメージを持ったロゴマークたち

ロゴマークは、企業や組織、製品などを象徴する「顔」です。その「顔」は、消費者に喜びや感動などのさまざまな感情を抱かせます。例えば、トヨタ自動車のロゴマークを見て「洗練性」や「グレード感」を感じるかもしれません。

また、それが食品の場合には、違ったイメージを抱くかもしれません。今回は、食品にまつわるロゴマークを5つご紹介します。

1.不二家のロゴマーク

#不二家のロゴマークは、ペコちゃん?不二家は1910年(明治43年)に創業した、お菓子作りの老舗です。明治、大正、昭和、平成、令和と、100年以上の歴史を経て、今なお愛され続けるお菓子の製造販売が中心の食品メーカーです。

不二家と言えば、「ミルキーはママの味」という懐かしいメロディーとともに、かわいいペコちゃんを思い出す人も多いでしょう。でも、ペコちゃんは、不二家のロゴマークではありません。ペコちゃんは、不二家全体のマスコットキャラクターなのです。

#不二家のロゴマークは、「ファミリーマーク(Fマーク)」不二家の企業マークは、1961年(昭和36年)に誕生した「ファミリーマーク(Fマーク)」です。このロゴマークをデザインした人は、20世紀を代表する産業デザイナー・レイモンド・ローウィ氏。

「ファミリーマーク(Fマーク)」の「F」には、5つの意味があります。「Familiar(親しみやすい)」「Flower(花のような)」「Fantasy(夢)」「Fresh(新鮮なアイデアに満ちた)」「Fancy(高級な品質)」

このロゴマークを見ると、「ミルキー」の甘く懐かしいミルク味のキャンディが食べてみたくなりませんか?

2.キューピーのロゴマーク

#「キューピーマヨネーズ」キューピー人形で有名な、キューピー。キューピーは、1919年(大正8年)に創業され、100年以上の歴史を持つ老舗食品メーカーです。この会社の主力商品である「キューピーマヨネーズ」は、1925年(大正12年)に発売された国産初のマヨネーズです。

卵黄を使い栄養価の高い食品「キューピーマヨネーズ」は、当時の日本人の健康と体格の向上を考えて製造されたもの。マヨネーズと言えば、カロリーがちょっと気になりますね。#キューピーのロゴマークは、かわいいキューピー人形

会社のロゴマークは、キューピー人形に由来しています。「キューピーマヨネーズ」が発売された当時、キューピー人形が人気だったとか。昔のキューピーは、背中に小さな羽が生えていましたが、天使と誤解されないために、2013年に羽のないキューピーが誕生しました。

今のキューピーのロゴマークの由来は「タマゴ」にあるようです。昔も今も変わらない「キューピーマヨネーズ」のキューピー人形に、食卓を囲む一家団欒のひと時を思い浮かべる人も少なくはないでしょう。

3.森永製菓のロゴマーク

#森永のロゴマークは、エンゼル1899年(明治32年)に創業された森永製菓は、当時の洋菓子を製造する老舗メーカーです。森永と言えば、チョコレート、ビスケット、キャラメル、アイスクリームなど、本当にたくさんのお菓子が思い浮かびますね。

その中でも特に懐かしい商品の一つが、1914年に発売された森永の「ミルクキャラメル」。掌に入るような、小さな黄色いボックスを開けると、1つ1つ大切に包まれた小さなキャラメルがぎっしり。優しい甘さで小腹を満たしてくれるキャラメルですね。

その箱に逆立ちしたようなエンゼルの姿。それが、森永のロゴマークです。#森永のロゴマークの歴史森永の「エンゼルマーク」は、1905年(明治8年)にロゴマークとして商標登録されました。「エンゼルマーク」の由来は、当時森永が販売していたマシュマロ。

マシュマロの別名は、「エンゼルフード」だとか。子供に夢と希望と幸福を与えるシンボルとしてぴったりの名前ですね。1984年(昭和59年)に起こった有名な脅迫事件(「かい人21面相」)をきっかけに、これまで親しまれてきた「エンゼルマーク」を、現在に近いデザインにしました。

大きな羽と、ふっくらとしてかわいい顔のエンゼル。このロゴマークには、世界へ羽ばたこうとする森永の夢と希望が盛り込まれているようですね。

4.キッコーマンのロゴマーク

#六角形のロゴマークキッコーマンと言えば、やはり醤油でしょう。キッコーマンの本社がある千葉県野田市は、醤油づくりの町。その歴史は古く、16世紀ごろまでさかのぼるとか。1917年(大正6年)に有力醸造業者が合同で設立した「野田醤油株式会社」がキッコーマンの前身です。

キッコーマンのロゴマークと言えば、六角形に萬の字。この萬の字ですが、中心の太い縦線が鼻みたいで、その両脇にぴょんと跳ね上がった形が髭のよう。このロゴマークは、見ようによってはそんな人の顔に見えませんか。

なんとなく、かわいいですね。#キッコーマンは、亀甲萬六角形のロゴマークは1820年ごろから使われているそうですが、ロゴマークの由来は、千葉県香取市にある香取神社の亀甲文様を図案化し、それに「亀は萬年」をかけたとか。

そして「亀甲萬(キッコーマン)」が誕生したという説があるそうです。

現在では、「Kikkoman」という英字の右上に六角形のマーク、右下に「おいしい記憶をつくりたい。」という文字を入れたものがロゴマークになっています。「亀は萬年」の言葉通り、長い歴史のある会社ですね。

5.ネスレのロゴマーク

#アンリ・ネスレネスレと言えば、「ネスカフェ」。この言葉だけで、コーヒーのいい香りが漂うような気がしませんか?ネスレは、ドイツ語の「nestle」で、「鳥の巣」を意味します。ネスレ創業は1867年のスイスで、創業者はドイツ人のアンリ・ネスレです。

栄養不足で乳幼児の死亡率が高いことに心を痛めたアンリ・ネスレは、自ら乳幼児用の調製粉乳を開発しました。その動機は、彼の家族で乳幼児の死亡率が高かったことや、心温かい医師として知られる妻の父親の影響などが要因であったと言われています。

#親鳥とひなの姿のロゴマークネスレのロゴマークには、親鳥がかわいいひな鳥に餌を与えるやさしい絵が描かれています。創業100周年を機に、ロゴマークのデザインを変更し、さらに1988年には、ネスレグループが統一社名になったのを機に、3羽のひな鳥を2羽のひな鳥に変更しています。

年数とともに巣や鳥の絵がどんどんシンプルになり、スマートフォンなどでも読みやすいようなソフトな現在のデザインになりました。ロゴマークになった親鳥とかわいいひな鳥の絵。この絵には、創業者アンリ・ネスレの優しい眼差しが感じられますね。

ロゴマークが表現しているもの

キッコーマンも、キューピーもそうですが、ロゴマークを見ただけで「しょうゆ」だとか、「マヨネーズ」という具合に、具体的な食品がすぐに頭に浮かんできます。ロゴマークには、会社の歴史や、将来の夢や希望、商品開発への情熱、人への深い愛情など、会社の大切なものがすべて表現されています。

ロゴマークは、会社のすべてが込められた「顔」なのです。